2022年6月、秋田県大館市に、地域住民と関係人口で構成されたNPO法人むりん庵が設立されました。
 「地域が抱える問題提起及び解決」や「関係人口創出・拡大」などに寄与することを目的としたこのむりん庵。理事長(設立者)の中沢雄大氏と副理事長(神奈川県在住関係人口)の寺山徹也氏に出会ったきっかけや、法人設立の経緯、今後の取組などについてインタビューさせていただきました。以下、中沢理事長は中沢さん、寺山副理事長は寺山さんと表記させていただきます。

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NPO法人むりん庵理事長 中沢 雄大 氏

 -お二人が出会ったきっかけは?-

 (中沢さん)
 令和3年度の県の関係人口創出・拡大事業にエントリーしたことがきっかけです。県主催のマッチングイベントで、むりん庵(当時は任意団体)がこれからやりたいことを発表したところ、寺山さんがその活動の趣旨に賛同し、むりん庵のチームに加わっていただいた形で交流がスタートしました。むりん庵の他にも4つも団体がいた中で、たくさんの時間を共有させてもらい、大変光栄でした。

 -寺山さんはなぜ多くの団体からむりん庵を選んだのでしょうか?-

 (寺山さん)
 むりん庵だけを選んだわけではないです。笑
 大館市むりん庵の他にも八郎潟町のプロジェクト8さん、能代市梅内聚落の皆さんとも仲良く交流させてもらいましたし、今現在も交流しています。とくにこの前の7月17日にはプロジェクト8さん主催のビッグイベント「一夜市」にメンバーの一人として出動し、ゴミ分別係や駐車場誘導係としての務めを果たしました。つい最近まで秋田に縁もゆかりもなかった神奈川県藤沢市在住のサラリーマンが、突如として八郎潟駅前で祭りの参加者からゴミを受け取って分別したり、車の誘導をしていたわけです。笑

-そう考えると中々あり得ないシチュエーションですね!笑-

 (寺山さん)
 そうなんです。普通に生活していたらあり得ないような出会いがあり、あり得ないような深さで地域とお付き合いできる。これが「関係人口」ならではの良さだなと感じています。ツアーなどの普通の観光ではこういった関わり方はできませんし、体験型観光もあくまで「お客さん」として決められた体験を消費するという形でしか関われない。地域で活動する団体と私のような外部の人間を直接つなぎあわせるこの秋田県の取組はとても意義深いものだと思っています。

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八郎潟町のお祭り「一夜市」に運営陣として関わった(むりん庵集合写真)

 -寺山さんがNPO法人むりん庵の副理事長となったのはどういう経緯ですか?-

 (中沢さん)
 端的に言うと寺山さんが組織の趣旨に強く賛同してくれ、また、少なくともこの先数年間大館市を盛り上げる活動を共に進めていくと意気投合したからです。とくに、寺山さんが提案した「だんぶり長者フェスティバル(案)」は特に興味深く、テーマも郷土に根ざしたものであることから、むりん庵の目玉イベントとして育てていきたいと考えています。

-寺山さん提案のだんぶり長者フェスティバルとは何ですか?-

(寺山さん)
 大館鹿角を中心とした県北に伝わるだんぶり長者伝説をテーマにしたささやかな祭りができたらなと考えています。詳細はメンバーと詰めている最中です。

-なぜだんぶり長者伝説をテーマとしたのですか?-

(寺山さん)
 私が大館に初めて訪れたとき、中沢さんの案内のもと桂城公園など大館の名所を巡っていたところ、「比内町独鈷がだんぶり長者伝説ゆかりの地であること」を示す石碑を偶然大館市役所比内支所にて発見したことが提案のきっかけです。元々歴史が趣味ということもあって、「だんぶりってなに?」という疑問から調べていくうちに、日本に仏教が伝来する前、天皇がまだ大王(おおきみ)と呼ばれていたほど大変古い時代からの伝承が今に生きていることを知り、また、そのような立派な伝説を秋田の人たちにはそこまで認知されていないことに驚きました。ただ、裏を返せば、大館を盛り上げるには格好のテーマになる!と確信があり、中沢さんをはじめとしたむりん庵メンバーたちと話を進めて具体化しているところです。また、偶然にもだんぶり長者伝説の発端となる大日神を祀る大日神社が建立されてから2023年でちょうど1500年になり大きな節目となることからも何か強い縁を感じたところです。

-なるほど、ここまで偶然が合致すると確かに縁を感じますね。中沢さんは秋田の地域側として関係人口である寺山さんを迎え入れましたが、何か変化はありましたか?-

(中沢さん)
 もちろんたくさん得るものがあります。寺山さんのお仕事で培った人脈やノウハウ、歴史に関するとても深い造詣からくる発想・着眼点のおかげで、むりん庵の取組のバリエーションが大きく広がりました。また、「県外に在住している寺山さんがここまで秋田のために頑張っている!秋田に住んでいる我々なら、なおいっそう地域を盛り上げるために頑張っていかなければ!」と感化され、モチベーションが向上したメンバーもいます。
 少子高齢化などの影響により、地域のために動く人材がどんどん減っていると考えています。そんな中で、寺山さんのような外部人材を柔軟に取り入れていく懐の深さが地域には求められてきています。また我々むりん庵は、その懐の深さを備えた団体でありたいと考えています。

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NPO法人むりん庵副理事長 寺山 徹也 氏

-それでは「これから関係人口になりたいな、興味があるな」と思っている人に向けてメッセージをお願いします。-

(中沢さん)
 関係人口というと行政用語で堅く聞こえますが、平たく言うと遠隔地に住む友達です。これまでのインタビューを見ていただいて伝わったかも知れませんが、大人になってからできた同じ志を持つ友達はむしろ「仲間」といってもいいぐらいです。関係人口に興味をもたれた皆さんにおかれましては、我々と同じように、本気で向き合える仲間を是非この「秋田関係人口会議」で見つけてもらえたらなと思います。

(寺山さん)
 本音を言ってしまえば、未だに関係人口と観光人口を取り違えた対応をするような地域団体はたくさんあります(もちろんよかれと思ってのことだとは思いますが)。しかし、私が出会ったむりん庵やプロジェクト8のような我々部外者を本当に「身内の人、仲間、団体の一員」として、温かく、、いやむしろ熱く迎え入れて、地域活動で活躍させてくれる団体はたくさんあります。是非そういった方々と楽しく交流・活動を進めてもらえればなと思います。

 -最後に、「関係人口と関わりながら活動をしたい」と考えている地域団体に向けてメッセージをお願いします。-

(中沢さん)
 関係人口という仲間を増やしていくにあたって、最も重要なのは何だと思いますか?歴史?料理?祭り?私はこの2年間の取組を通して地域の人」そのものだと確信しています。「この地域はこんないいところがあるよ。歴史があるよ。」「こんなにおいしいものがあるよ。」といったプロモーションの前に、「私はこういう者です。あなたはどんな人ですか?話しましょう!知り合いましょう!」です。まずお互いに知り合うこと。それが正に「関係」人口だと考えています。私たちにとっての寺山さんのような頼もしい仲間と繋がることを祈っています!お互い楽しみましょう!

(寺山さん)
 私自身、母の実家が秋田にあり、ご先祖様が秋田の武士であったことを誇りにしながらも40代まで関わることができず今に至りました。しかし縁あって部外者を受け入れるオープンマインドな方々に受け入れられたことで、これまで仕事・趣味で培ってきた技術・知識を全力で秋田に還元することができるようになりました。私のような意思をもった方々はほかにもたくさんいらっしゃいます。どうか「お客さん」としてでなく、「地域を担う仲間」の一人または友達として受け入れてもらえたらなと思います。

むりん庵の公式HPはこちら!

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部 地域づくり推進課 調整・地域活性化班
  • 〒010-8570 秋田県 秋田市 山王4丁目1-1
  • Tel:018-860-1237 Fax:018-860-3875

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