関係人口の第一人者であるローカルジャーナリストの田中輝美さんをお招きして、地域と関係人口がつながることでどうかわるのか、また幅広いつながりを作るためのコツなど、今後の関係人口の可能性を模索するためのオンライン鼎談を開催しました。
ゲストには、関係人口に関わる取組を地域で実践してきた大潟村松橋ファームの松橋拓郎さんと、いちじくの栽培を地域外の方と取り組み始めた佐藤勘六商店の佐藤玲さんをお招きし、のんびり合同会社の矢吹史子さんの司会のもとで鼎談を行いました。
関係人口が地域のできることを増やしていく
田中さんより関係人口について詳しくご紹介いただきました。関係人口の取組が進んだ背景に、地方の人が少なくなっていることがあります。人口が減る中で、新たな取組をしたいけれども、地域の人の役割が増えすぎて身動きが取れない。でも、地域を楽しみに来てくれる人たちがいる。そこで、地域の人と一緒に取り組む外の人を募ったことが関係人口の始まりでした。住民が減り続けるからこそ、地域外の人と一緒に取り組んでいくことが、これから大切になるとのお話がありました。
生産者と食べる人をコミュニティにする大潟村松橋ファーム
松橋さんより、農家がつくる日本酒プロジェクト“農醸”について紹介いただきました。農家として取り組む中で松橋さんが気づいたのは、生産者と食べる人はつながっていても、食べる人同士のつながりがないことでした。生産者を通して食べる人同士もつながるコミュニティをつくることが、松橋さんの大切な考えになり、そこで始まったのが“農醸”でした。農醸は、自分の日本酒を造ることを目標に掲げています。「自分の友だちがテレビに出るときにSNSでシェアするみたいに、思わずシェアしたくなる、そんな日本酒を造ることを目指しています。そして、酒米が種から日本酒になるまでの過程を通して参加者同士がつながりコミュニティになることを目的にしています。」すでに活動は9年目を迎えており、約300人が参加するコミュニティにまで成長しています。
にかほで立ち上がったサンゾープロジェクト
続いて、佐藤勘六商店の佐藤玲さんより、いちじくを地域外の人と栽培する“サンゾープロジェクト”についてご紹介いただきました。佐藤さんは首都圏のIT企業に勤めていたころ「にかほのいちじくならECで売れる」と根拠のない自信があり2001年に帰郷しますが、その年に、食害によりいちじく栽培が危機に直面します。波乱万丈の帰郷から始まった佐藤さん。のんびり合同会社の矢吹さんとの出会いを通して「にかほと言えばいちじく」となるまで有名になったものの、いちじくの生産者は減少しており、このままではいちじくが途絶えてしまう。そこで、地域外の人と「いちじくを造る」「地域を造る」「人を造る」の3つの造るで「サンゾープロジェクト」が始まりました。
焦らず関係を育み続けていくこと
矢吹さんの司会により、関係人口の可能性を模索する鼎談が行われました。テーマの1つは「関係人口とつながることで地域がどう変わるのか」。佐藤さんは地域の人と地域外の人をつなげながら活動を進めている一方、松橋さんは自身の家族がコミュニティの軸として参加者と一緒に活動するなど、取り組み方に大きな違いがあります。田中さんは「地域をシンプルに人の集まりと捉え、その人たちが魅力的で幸せであれば、周りから関わりたい人が集まってきます。ただ、過疎地域では長らく人が減り続けたため、地域の人は農業やものづくりへの自信をなくしており、地域外から若い人が来て感銘を受けても、その言葉を素直に受け止められず、「骨を埋める覚悟があるのか」など、厳しい言葉が出てしまうこともあります。焦らず、少しずつ外から人が来て関わることで、段々と自信を取り戻せます。関係人口には誇りの涵養効果があるので、お互いが一緒に楽しく活動できるまで、焦らず続けることが大切です。」とのお話がありました。
当日の動画(Youtube)はこちらから
当日の様子は、Youtubeに公開しております。
「見逃した!」という方は、ぜひこちらからご覧ください。
当日の様子は「なんも大学」で
オンライン鼎談の様子が、秋田のWEBメディア「なんも大学」にも掲載されました。
こちらもぜひご覧ください。
関わる場所 | 秋田県 |
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関わり方 | 交流する・参加する 仲間になる |
この記事に関するお問い合わせ
- 秋田県 あきた未来創造部 地域づくり推進課 調整・地域活性化班
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