北秋田市

 秋田県の北部中央に位置する北秋田市は県内の約10%を占める敷地面積があり、山や河川の恵みに恵まれています。
 市内にある大館能代空港は首都圏と1時間ほどで移動ができる高い利便性をもっています。また、秋田内陸縦貫鉄道での観光や世界一大きな太鼓「綴子大太鼓」などが有名で、お土産の定番である「バター餅」も以前に全国ネットのテレビで紹介されていました。

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 今回は北秋田市の阿仁地域を中心にマタギ文化に触れるツアー「マタギイズムの継承ツアーseason3」を取材しました!

 マタギとは何?

 マタギとは東北地方や北海道などで集団で狩猟を行う方たちのことです。一般的に銃をもって山に入り狩猟する人たちのことと思われがちですが、銃のない時代から存在していてさまざまな技術で熊や猪を狩っていたと言われています。
 マタギは山の神様からの恩恵を重んじていて、獲物を取ることを「授かる」といいます。
 すべては山の神様からの授かりものとして頂いているということです。
 そんなマタギについて、現役のマタギたちと一緒に歴史や知恵を学んだり、一緒に山に入ったりすることができる「マタギイズム継承ツアー」は、今年で3回目となりました。
 ツアーを主催するのは、北秋田市移住定住ネットワーク スムスム。
 その代表であり、現役のマタギでもある益田光さんの案内のもと、2泊3日のツアーを取材してきました。

 ようこそ北秋田市へ!

 今回のツアーに参加されたのは関東圏在住の樋口さん。
 昨年行われたseason2のオンライン開催で知り、次回は必ず参加したい!と心待ちにされていたようです。
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 大館能代空港に到着後、まずは内陸線に乗車しました。
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 車窓に広がる雪景色を見ながら、今回のツアーの内容をおさらいしつつ、バター餅で一息入れました。
 到着した阿仁合駅では阿仁地区の歴史やグルメを堪能。
 駅周辺を少し散策しながら地域の方とも交流しました。
 案内をしてくれたのは鉄道好きの大穂さん。鉄道が大好きで内陸線に心奪われ、北秋田市に移住されてきた方です。
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 再び内陸線に乗って、向かった先は「打当温泉マタギの湯」今日から2泊するお宿です!
 温泉が有名で、湯冷めしにくいのが特長。温泉のある打当(うっとう)地域はかつて集落に住む世帯全てがマタギだったそうです。代々のマタギたちからも愛されてきた名湯です!
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 打当温泉に着いてからは、マタギのお話を聞かせていただきました。
 お話をされるのは、現役の打当マタギのシカリ(統率者)を務める鈴木英雄さん。
 それから今回のツアーの主催でもあり、広島から移住してきた若者マタギの益田光さんで
す。
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 当時のお写真や貴重な資料も見せていただきました!
 中でも驚きなのが「熊の胆」。薬剤として取り扱いされ、とても貴重なものでかなり高価なんだとか!その他にも、クマの血を固まらせて粉末状にしたものや、子熊の手など普段は目にすることのない貴重なものを見せていただきました。
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毛皮をきた樋口さんと取材スタッフ。
「固めの毛だけど思ったより軽い!そして暖かい」と初めて着る本物のクマの毛皮の感触を確かめました。
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 この日の晩ごはんはウサギ鍋!
 鶏肉のような食感でしたが、脂身部分はやはりケモノの香り!旨味があって美味でしたが、この鍋に使われたウサギ肉は養殖されたもので、実際の野ウサギの肉は非常にクセが強いんだとか。
 鍋の他にも、清流が多い北秋田市では川魚がおすすめということで、マスやナマズのお刺身が並んでいました!
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 いよいよ自然の中へ、、

 
 ツアー2日目はマタギの鈴木さん、益田さんたちと一緒に雪山に登りました。前日に降った雪のおかげで、あたりは新雪でふかふか。
 そうなると怖いのが、足元がいきなりズボッと落ちてしまうこと!そんな時に欠かせないのが「かんじき」です。雪の積もった山道でもこれを履けば歩けちゃうんだとか!
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 雪山にはたくさんの動物たちの足跡。足跡を見ただけでなんの動物なのか、マタギの方たちはすぐにわかってしまいます。一気に自然(マタギ)の世界に飛び込んだ感覚になりました。
 きれいに整えられた杉の木もとても幻想的でした。
 この時期のクマは冬眠中なので、基本的に遭遇することはないみたいですが、中には早く冬眠から覚めてしまい、寝ぼけながらふらついているクマもいるみたいです!
 でもそんなクマに会うのはほんとにレアのようで、鈴木さんも数回しか見たことがないと話していました。
 動物だけじゃなく、山に生える木々もたくさんの種類がありました。マタギの皆さんからそれぞれの植物の特徴も教えてもらいました。
 樹液が凍っているカエデの木を発見。その凍った樹液、なんと食べられるのです!
 「、、、あまい!」初めて食べた自然の樹液アイスキャンディーに樋口さんも驚きです!
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 下山したあとは雪中鍋づくり!
 雪の中に即席のラウンドスペースを作り、その真ん中に鍋を設置します。
 火おこしや、鍋をかけるための支柱設置など全て、樋口さんに整えていただきました!
 火おこしに使った着火剤は山に生える樺の木の皮を樋口さんが剥いだもので、油分が多く、一瞬で火がつきました。このような知恵もまた継承されていきます。
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  出来上がった鍋は皆さんでいただきました!

 雪の中で食べるロケーションもあってか、とっても美味しかったです。
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 宿に戻ってからは、マタギや阿仁地区の貴重映像の鑑賞会です!

 外には出ていない、今や鈴木英雄さんしか持っていない貴重な映像なんだとか、、。
 昔のマタギたちが登場して、狩猟や生活などの当時の様子が残されていました。形や道具は変わっても、マタギとしての生き方が今でも受け継がれてきていることに感謝を覚える内容でした!
 
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 そして、この日の夕食は「クマ鍋」。しっかりとした歯ごたえがあって、臭みは少なく他の肉と例えようがない、、。クマ肉はクマ肉!樋口さんや取材陣も初めて食べましたがあっという間に完食するほど美味でした。
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 地域を知る

 ツアーの最終日。
 この日は、阿仁地区をご案内してもらいました!
 最初に訪れた大阿仁小学校では、翌日に控えた閉校行事の予行練習を見学。全校生徒16名の想いのこもった歌や発表に、元気をもらいました!
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 打当から少し離れたところにある集落「根子(ねっこ)」この地域にも根子マタギがいて、今は打当マタギと合同で山に入ることもあるそうです。
 この集落に行くために通るトンネル。トンネルに向かって声を出すと、波打った反響で予想の数倍はっきりとしたやまびこが返ってくるような不思議な感覚。「すごい!」と一同で大盛り上がりしました!
 この場所も地元では有名なスポットになっているそうです。
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 最後に森吉山を望んで帰路に着きます。
 遠くに見える森吉山は北秋田市のシンボルでもあり、スキー場や樹氷が有名です。
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 ツアー中は終日天気が良くこの日も綺麗に山が見えました。
 手前の線路を内陸線が通過するタイミングに出会えたら、より素晴らしい風景になることでしょう。
 マタギツアーを終えて
 最後に今回のツアーについての感想を参加者の樋口さんと主催の益田さんにお聞きしました。
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 【樋口さん】
 旅行感覚ではなく、地元の方との触れ合いや本場のマタギの人たちの生活が根付いた経験ができたことが最高でした。人生にこんな時間があるんだ!と思えた経験になりました。
 山でしか、そこにいる人にしか分からないことを深く話を伺うことができてとても光栄です。マタギの世界って外部の人は受け入れられないかと思っていましたが、関わってくれた皆さんが快く受け入れてくれたことに本当に感謝しています。
 あまりにも楽しかったのでまた参加したいです!
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 【益田さん】
 ここに暮らしてきた人がどんな生活をして、どんな土地なのかを知ってもらいたくてマタギイズムのツアーを始めました。
 今回は2泊3日の体験で、参加してくれた方がいてかなり濃密な時間だったと思います。
 山を歩くのも良いけど、「里」を知ってもらいたいし本気の冬を知ってもらえたと思います。話を聞いて、現地で触れ合って、実際に手や足を動かしてもらって、この2泊3日は同じマタギのメンバーとして受け入れました。「継承」がテーマですので見るだけでなく肌で感じてもらうことが大事だと考えています。
 今後もお客さまではなく、同じマタギとして春夏秋もこの里を知ってほしいと思っています。

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関わる場所 北秋田市
関わり方 交流する・参加する 仲間になる

この記事に関するお問い合わせ

  • 秋田県 あきた未来創造部 地域づくり推進課 調整・地域活性化班
  • 〒010-8570 秋田県 秋田市 山王4丁目1-1
  • Tel:018-860-1237 Fax:018-860-3875

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