1月20日と21日の一泊二日で、藤里町で新たに誕生したゲストハウス「あわじ商店」を拠点に、関係人口の方々とのツアー企画を実施しました。
本記事では当日の様子をレポートします。
▼昨夏に伺った際の記事はこちら▼
自然の恵みをあなたならどう使う?町が丸ごとアクティビティ。遊びも暮らしもあなた次第!
https://kankei.a-iju.jp/projects/p3086
世界遺産である白神山地の麓に位置する藤里町。
そんな藤里町の大沢集落にある「淡路商店」はかつて、商店兼住宅、そして寄り合い所として多くの人の想いが通った場所でした。
そんな場所を活用して、豊かな自然資源に魅せられ移住した佐々木規之さんが「ゲストハウスあわじ商店」を開業しました。
佐々木さんは「地元に長く暮らす人は、ここには何もないというけど、僕にとってはなんでもある町だと思っている」と話します。あわじ商店を中心に様々なアイデアを形にしています。
今回のツアーは、参加者と主催者が一緒に楽しみながら、あわじ商店に変化を起こしていくような時間を過ごしました。
まずはチェックイン。薪ストーブを囲み宿泊台帳に記入します。藤里町やあわじ商店の話を伺いました。
ゲストハウス横で育てているマイクログリーンを見学
マイクログリーンとは、野菜やハーブの新芽のこと。栄養価の高さからアメリカで流行り始め、欧米の日常の食卓へ並び始めています。
現在、佐々木さん達が育てたマイクログリーンは、東北のフレンチレストランを中心に徐々に販路を広げています。
数種類試食したマイクログリーンは、食感と風味の強さが印象的でした。
夕食会はご近所の方も招いて賑やかに!
囲炉裏を囲みながら、とても楽しいひとときでした。
白神山地の世界遺産登録のストーリーや、白神のシンボル・ブナにまつわる話なども伺い、藤里町に対する愛着が深まります。
翌日は野外アクティビティのモニターを実施しました。
まずは、佐々木さん達が育てているヤギのお世話をお手伝いします。
人懐っこい3頭のヤギたちが出迎えてくれました。
ブラッシングと餌やりを体験で癒されるひと時。
佐々木さん達は春から、元集落だった場所の一角を借りて、農業に取り組む予定です。
ヤギ達は雑草を食べてくれるので、開墾に欠かせない大切な仲間なのです。
ツアーに参加した秋山さんとヤギのサツキ
その後、かんじきを履いて雪山トレッキングへ。
あわじ商店の大沢集落から山の奥へ。前述した、春に農業を始める予定の場所を目指します。
かんじきで歩く感触を確かめながら、山の奥へ歩みを進めます。
トレッキングの道中にあった滝の滝壺まで降りて、記念写真!
滝を使ったアクティビティもたくさん出来そうです。
緩やかな勾配ですが、岩肌むき出しの滝です。
【参加者の感想】
盛り沢山のツアーで、本当に楽しかったです!
ゲストハウスで過ごすだけでなく、地元の方や移住者の方々と交流もできて、農業や動物達との触れ合い体験、自然を味わうトレッキング体験もあり...藤里町に対する想いが湧いてくるツアーでした。
四季毎に体験できることや景色がかなり変わってくると思うので、他の季節にも来てみたい。自分が出来ることで貢献しながら、関わりを持ち続けたいなと思いました。
【あわじ商店・佐々木さんのご感想】
楽しい1泊2日でした!
やりたい事がたくさんあるなかで、どういった方々へどんな風にお届けしようか?を考えています。今回、一緒に過ごしながら様々なフィードバックをいただく事ができて、アクティビティなどの今後の方向性がより鮮明に見えたと思います。
佐々木さんや町の皆さんのおかげで、終始笑いの絶えない充実した1泊2日となりました。
ゲストハウス開業は2023年9月からなので、わずか半年弱。まだ始まったばかりです。
あわじ商店から、藤里町で新たな物語が紡がれていきます。その物語に関わってみませんか?
▼あわじ商店Instagram▼
https://www.instagram.com/shirakami_fujisato_guest_house/
▼あわじ商店のご宿泊はこちらから▼
今回のツアーに参加した秋山さんから、体験談を寄稿いただきましたので紹介します。
【高齢化率50%超えの町で楽しみ尽くす〜あわじ商店「冬のモニターツアー」に参加!〜】
世界遺産白神山地を有する秋田県藤里町に昨年オープンした「ゲストハウスあわじ商店」のモニターツアーに参加させていただきました。
藤里町は千葉市よりも少し大きいくらいの面積を有するも、人口は約2900人、学校は昨年ついに小中併合の義務教育学校1校となってしまった。
過疎化が進む現状にある藤里町に魅力を見出した店主の佐々木さんが行っている事業は一体どんなものなのか?
内容が盛りだくさんでめっちゃ楽しかったのでシェアします!
①ルームツアー
元々藤里町の名家だったという淡路家の店舗兼住宅「淡路商店」をリノベしてできたのがあわじ商店。
巡ってみると玄関から2階は吹き抜けていて、部屋の数がとにかく多く、襖には藤里の有名な書家の作品が描かれているなど、昔の良い家感満載である。
あわじ商店のインスタを見ると、不用品の処分や壁などのリフォーム作業が記録されている。
水回りも新築のお家と遜色なく、照明はセンサー式になっているなど、滞在生活において不便を感じた部分は無かった。
(宿泊部屋やシステムなどは上記リンクで詳しく紹介されている)
②マイクログリーン栽培所の見学と試食
あわじ商店に併設されている「ふじさとマイクロファーム」をご案内いただいた。
ここでは「マイクログリーン」という野菜やハーブの新芽を栽培している。
栄養が豊富で種類もたくさんあり、欧米では普段の食卓でも取り入れられている。
数種類試食したところ、少量でも噛むと一気に香りと旨味が広がった。
白神山地で育まれた軟水と有機資材の土を使用、化学肥料や農薬は一切使用していないため、一般的な水耕栽培のマイクログリーンよりも明らかに味や風味の広がりが良いとのこと。
東北のフレンチレストランを中心に販路を拡大中のようだ。
宿泊や地域資源以外にも、自らの施設で農業コンテンツや収入資源を持っていることは、関わり代の拡大や事業の継続性という面において大きなメリットになりそうだ。
マイクログリーンは1年中生産できるため、年中コンテンツや収入源、雇用を生み出せるという点も魅力的。
③町内ドライブツアー
買い出しついでに町内の色んな所を店主の佐々木さんと一緒に巡った。
施設や各集落に伝わる文化などを周りながら教えていただいた。
特に米田地区の「根城相撲」は大変興味深かったので、詳細を調べて、今年の開催はぜひとも観戦したいところだ。
大野岱放牧場という町営の放牧場もご案内いただいた。この日は天気も良く、夕陽と雪一面の広大な放牧場の景色はとても美しかった。冬季以外は羊が放たれているとのことで、こちらもシーズンになったら様子を観に行ってみたいところ。
あわじ商店のプロジェクトが始まってまだ2年経たないくらいだと思うが、藤里町のニッチな部分を沢山知っている佐々木さんのガイドはとても面白かった。佐々木さんを上回る、藤里町歴史マニアの方も居るとのことで、その方にも今後お会いしてみたい。
買い出しはローカルスーパー「いとく」発祥の地であるという藤琴店にて行った。
④夕食
鷹巣在住の方があわじ商店に訪れ、夕飯を作っていただいた。
現在計画を進めているカフェがオープンできた際には、この方がメインの担当になる予定だそうだ。
秋田県北の郷土料理でもある「なんこ鍋」を中心に、多種多様な美味しい料理をご提供いただいた。
夕食の際にはご近所さんにもお越しいただき、薪ストーブを囲んで総勢10名での交流となった。
つい3ヶ月前(昨年11月)に移住してきたご夫婦もいらっしゃったが、もうすっかり馴染んでいる様子で、あわじ商店(佐々木さん)を中心にコミュニティが形成され始めていることが伺える。
今後さらに町の皆さんを巻き込んだ活動が広がっていく未来が楽しみだ。
⑤白神山地紹介コーナー
交流も盛り上がってきたところで、白神山地の巡視員も務める佐藤さんから白神山地紹介スライドの発表コーナーが開始。
佐藤さんは元々岩手のご出身で、自然がとにかく大好きな方。あらゆる場所を巡りに巡った結果「白神山地が一番!」という結論に行きつき、藤里町への移住を決めたそうだ。スライドや発表からも白神山地への愛が伝わってくる。
そして、白神山地の成り立ちを題材にした絵本があるということで、その場のノリで読み聞かせが始まった。
あわじ商店のスタッフの方が絵本を読み進めてくれたのだが、その方のキャラや佐々木さんのツッコミなどが相まって絵本の読み聞かせとは思えない大爆笑に包まれた。
所々、佐藤さんが絵本のファンタジーな表現に対して現実的な目線で補足をする構図も面白く、「子供も大人も楽しめる白神山地の紹介では!?」ということで、勢いでやったものの、ツアーコンテンツとしての可能性を見出す結果となった。
それにしても、あわじ商店のお二人、夕食担当の方、佐藤さん、佐々木さんの呼び掛けに応じて参加してくれて場を盛り上げてくれる近隣住民の方々…役者揃いだなぁ笑
⑥ヤギとの触れ合い
2日目に入り、最初のアクティビティはヤギとの触れ合い。
あわじ商店から車で数分のところにあるヤギ小屋へ移動。すると3匹のヤギがお出迎え。
キャベツを差し出すと勢いよくムシャムシャと食べ始める。
とても人懐っこく、動物とのコミュニケーション能力がイマイチな秋山もブラッシングができたり、身体を撫でたりすることができた。特に赤い首輪の「サツキ」が見たことも無いくらい、秋山にアピールしていたらしい。ツーショット写真のお相手もそのサツキだ。
今後計画している耕作放棄地の開墾の際には、雑草や茂みの葉っぱを食べてくれる役割を担ってくれる予定だそうだ。
動物と触れ合いながら共生体験ができるというのも、ホットなポイントだ。
⑦スノートレッキング
1日目の夜に白神山地紹介をしてくれた佐藤さんの案内で、奥滝ノ沢という元集落へのトレッキングを行った。
輪かんじきをあわじ商店さんから借りて装着。初めての体験だったが、やはり積雪への沈み込みが浅くなり、脚を前に進めるアシストをしてくれている感覚がある。
1日目の晩に交流した流れもあり、和やかな雰囲気で散策ができた。
コース上の景観などに関する質問も気軽にできる関係性になり、ゲストハウスでの交流を含んだパッケージであるメリットが現れたように思える。
坂道を30分くらい歩いただろうか。折り返し地点の小屋に到着した。
小屋は少し小高い位置にあり、そこからは耕作放棄された田んぼが広がっていることが確認できる。
また、小屋の裏には若い木々がヒョロヒョロと立ち並び、いかにも数年前まで人の手が加わっていたであろうスペースがあった。
ヤギの紹介でも触れたが、この田んぼとスペースを雪が溶けたタイミングで、佐々木さんたちで再開拓を進めていくとのことだ。
この部分も色んな人たちの関わり代になること間違いなしだろうと思うので、興味のある方はぜひSNSをフォローを。
お湯を沸かしカップラーメンとコーヒーをいただく至福のひとときを過ごし、出発点へと再び脚を運ぶ。
道中に眺められる一枚岩のなだらかな滝があり、佐藤さんによると降りて滝壺から眺められるということだったので、皆で斜面を降りることに。
恐らく斜面の表面は岩や土だと思われるが、積雪があるため、逆に歩きやすくなっており、転んだとしてもダメージはほぼ無い。
少し降りると、滝壺まで雪の滑り台のようになっており、お尻で滑り降りることができた(いわゆるケツジョリ的な)。まさに雪が生み出す自然のアトラクションで、大人も大興奮だ。
帰り道には「雪も良いよな!」という言葉が飛び交い、まさに「冬のモニターツアー」にふさわしい体験となった。
この後、温泉「ゆとりあ」で今回のツアーや今後の展望・課題に関して、湯に浸りながら色々とお話した。
特に個人的には、多種多様なコンテンツがある中で、どれをどの層に押していくのかが気になるところ。
もしかすれば季節によって違うかもしれない。国内と国外で情報の出し方を変える必要があるかもしれない。などなど、映像制作を行っている身としても、その点の方向性が気になるところ。
雪道をトレッキングした後の温泉は素晴らしかった。生きてる〜って感じ。
今後も脚を定期的に運び、楽しみつつ、何かしらの力になれればと思う。
ぜひ興味のある皆さんも一緒に活動してみませんか〜!
あわじ商店、藤里町、コーディネートいただいた皆さん、楽しい経験をありがとうございました!
関わる場所 | 藤里町 |
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関わり方 | 交流する・参加する 仲間になる |
この記事に関するお問い合わせ
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